最後のお酒
こんにちは。
有料老人ホーム翔陽です。
今日は翔陽にいた長老のお話です。
オープン月から翔陽に入居されており、
実は以前勤めていた病院に入院されていた方で、
とても長いお付き合いでした。
人見知りな性格でなかなか馴染めず、
病気が多い方でしんどい日とそうでない日の差も激しく、
そんな中病院から施設に移動したので、
お互いのペースを掴むまでにとても時間がかかりました。
長老は病院での入院生活も長く、
施設に入居する際に久しぶりに外に出たと話していました。
丁度令和元年8月に入居されましたが、
数か月経過した時に「いつ年号が変わったんだ」と驚かれていたことに逆に私が驚きました。
テレビや新聞、携帯がない世界にいるということがどういうことか、
想像したこともありませんでした。
長老は施設でテレビを見ることができることを喜んでおられ、
20時に就寝、夜中に覚醒してテレビ、朝食時間は爆睡・・・
という自由な生活を満喫しておられました。
お正月には必ずお酒を飲み、お誕生日には職員が部屋におしかけてパーティーを開き、
小さな子供を見るとどんなにしんどい日も笑顔で迎えてくれました。
年末、具合が悪く病院へ入院。
数日で帰る予定でしたが、コロナに罹患してお正月を一緒に過ごすことができませんでした。
それでも1週間経過すれば帰ってくると思い、
退院祝いの飲み会をいつ開催するか職員皆で考えていましたが病院からの連絡がなく。
病状が悪化しており面会もできないとのこと。
当たり前ですが、5類に変わってもコロナはコロナなんですよね。
不足しているという荷物を持って病院へ行きましたが直接の面会はできず。
ご家族は防護服を着て面会できるとのことでしたが遠方で面会できず、
看護師さんが特別にリモートで面会をさせてくださいました。
血圧は下がっていたものの意識があり、画面越しに私を認識してくれたのか不随運動で頷いたのか。
「待ってるからね!お酒を今年も一緒に飲むよ!」が最後の会話となりました。
それから数日。
長老は亡くなり、葬儀場で再会しました。
私と若社長はお正月に長老用に用意したお酒を持って行き、
最後のお酒をたくさん一緒に飲み、
長老が病院の喫煙所で吸っていた煙草に火をつけました。
病院ではない場所で「生活」すること、
スタートしたばかりの私達に長老が教えてくれたことだと思っています。
今年は初盆。
翔陽にも帰って来てくれるといいな。
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